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パラグライダーの最新情報をお届けします。

Redbull Xalps2021 DAY12 回想(JPN1)

アエロタクトチームは挑戦し続けます


Day12。
5人目のエルミネートがFRA3のセオに決まり、最下位ではありますが最後まで戦った中での20位が決定。
ということで、我々の目指すものはといえばモンブランに到達すること。
できるなら、モンブランを回り込みダビデの住むクールマイヨールぐらいまで足を延ばしたいところですが、この日もクラウドベースは低く、目指すモンブランは雲の中であるに違いありません。
しかも、またまたスイスでキャンプを張ってしまったので、まずはフランス入り、そしてイタリアを目指す一日となりました。


ジュリアノと一緒にアボリアを超えてモルジンへ向かいます。


そうはいっても、まだまだ遠いモンブラン。
この日の作戦は、まず陸路でスイス国境を渡り、スーパーモルジンのテイクオフへ。
ソアリングコンディションに巡り合えば、サモアのエリアを超えデニスコルテラの住む、サンジェルベの谷へ入っていく感じで考えました。
スーパーモルジンのテイクオフへは、サポーターも車を横付けできるので、みんなの見守る中ラストフライトができるので最高のロケーションと言えます。


シャモニーの入り口、パーシーでレース終了。


ゴールへ到達できる可能性のある選手たちは、必死でZee Am Seeを目指している終盤戦ですが、私たちのゴールはモンブランの折り返し地点。
表彰式が開催されるZee Am Seeまでは陸路で丸一日かかる距離感です。
主催者からは表彰式には間に合うようにしてくれとのメッセージが届き、明日車での移動を考えると、この日は早めに切り上げスタッフ共に疲れを癒すことに。
フライトコンディションはクラウドベースは低いものの結構よく、狙った通りのルートで、午後4時にパーシーまで到達。
まだまだ時間的には余裕がありますが、イタリアへ抜ける2600mの峠道もガスに覆われた状況。
峠を詰めて徒歩で国境を超えることを考えると、明日の行程に支障をきたすのは間違いありません。
今回のレースは、アクシデントも多かったので、ここは無理せずハッピーランディングでレースを終了することに。

今日テレビで「超人たちの人体」という番組を興味深く見させていただきました。
トップアスリートの超人的なパフォーマンスと、それを実現する人体の驚きの仕組みを解き明かすものでした。
水泳でコンマ1秒を縮める為に最後の15mを無呼吸でピッチを上げる能力がどこからきているのか、マラソンを2時間以内に走りきるケニアの選手は、糖質中心の食生活が腸の糖質吸収能力を進化させているとか、パラ陸上で短距離から長距離までメダルをとるアスリートの、長距離走に適応しない大きな筋肉でマラソンを気持ちで走りきる脳の発達度など、彼ら超人は人体(脳、内蔵、筋肉)を進化させることで記録を伸ばしているという内容でした。
エックスアルプスのトップアスリートたちも、この超人たちに匹敵することをやってのけてくれます。
毎年高くなっていくハードルをいとも簡単に超えてくエックスアルプスアスリートたちの努力による進化は、計り知れないものだと思われますが科学的に解明できる物でもあるはずです。
空を飛べない人間が、鳥のようにアルプスを渡り歩いていく姿は、人間の英知の高さを証明し、エックスアルプスアスリートたちは、人間の進化を感じ可能性に賭けて生きています。
オリパラゲームに先駆けて開催されたエックスアルプスですが、エックスアルプスアスリートたちのパフォーマンスはオリパラアスリートたちに匹敵するものであり、人に感動を与えてくれ、人の可能性を感じさせてくれます。

我々アエロタクトはこれからもエックスアルプス、パラグライダーの可能性、人間の可能性に挑戦し続けます。
今後とも応援よろしくお願いいたします。


Redbull Xalps2021 DAY11 回想(JPN1)

レマン湖。ビルヌーブのテイクオフ。


DAY11。
昨日は追い越すことが目標となったセオが意外と距離を伸ばせなかった感じで終了したので、ゆっくりペースで歩き体力を温存した形で終了しました。
オーストリアからスタートし約400㎞程、西に移動しましたので日の出が遅いからなのか、はたまた空が雲に覆われているからなのか、朝起きてみるといまだ暗がりで、この日のスタートはヘッドランプが必要な暗さです。


朝の軽いブリーフィング。天気悪そう・・・


しばらく歩くとレマン湖が見えてきました。
レマン湖の東の端は、マニューバーをやるエリアとして昔から有名で、1990年代の初めのころ、JMB立山パラグライダースクールの校長関沢さんがアエロタクト主催のマニューバー講習に参加し、パラシュートを開傘して帰ってきたエリアです。
昨日、沿道に応援に駆けつけてくれたアランゾラはエアターコイズ(アエロテスト)の親分で、自らメーカーが差し出すグライダーのテストを行っています。
(下記ビデオは、レマン湖上空でのBoomerang9のテスト風景)
当時エアターコイズはとても危険だった2ライナーのテストを本気でやってくれていました。
2ライナーの出始めのころから比べると、今はCCCのカテゴリーができ、グライダーの安定感も抜群に良くなってきていますが、彼らが頑張ってくれたおかげです。
なんせ、危ないことをやってくれるのですから、皆様感謝しましょう。
そのころから比べればX-alps用のグライダーの開発も進み、当時は考えてもみなかった2ライナーが主流となり、とても良い仕上がりだと感じています。

2013年のエックスアルプスでは使用するグライダーはEN/Dの認証を受ける必要があるというレギュレーションができ、GINのグライダーをアランゾラにテストしてもらったことを思えています。
日本チームの只野さん達は現地トレーニングに入っていましたが、私はチームから離れてアランゾラを訪ね、X-alps用のグライダーの承認テストを受けたことを覚えています。
テストに合格しなければ、エックスアルプスへの参加は認められなかったはずですので、冷や冷やものでした。

ハイクアップ前のウエザーブリーフィングでの予報は西風強風。
ドンドッシュを攻略するにはできるだけ西からテイクオフする必要があります。
そして、モンブランへ近づくには風下の流されないようなフライトが必要であるとの指示が出ていました。
実際フライトしてみると予報通り西風強風。気温減率は良いのですがクラウドベースは2000m以下で、ドンドッシュのピークも雲に隠れた状況でした。


ハイクアップの前のメテオブリーフィング。 ちゃんと飛べなそうなので暗い感じかな・・・・


早朝ハイクから、フランス国境までは後藤さんに付き合っていただきました。
テイクオフまではジュリアノと一緒にエックスアルプスのメディカルクルーも私の体調を気にして(単なるエックスアルプスファンのようでしたが)同行しました。
そして、いよいよテイクオフ。

フライトは西風が強く、ドンドッシュのピークは雲の下でクラウドベースまで上げると雨が降っている状況。
西進するのは難しく、私は高い山(フランスとスイスの国境)に沿ってのフライトで距離を伸ばします。
結果、フランス側には着陸できず、またもやスイスに降りてしまいましたが何とかセオを越した位置まで駒を進めることが出来ました。
この日は万が一の時にそなえてナイトパスを申請していましたが、使うことなく次の日にモンブランに近づく作戦を立て、この日を終了いたしました。


Redbull Xalps2021 DAY10 回想(JPN1)

エアターコイズのアランゾラファミリーが応援に駆けつけてくれました。


DAY10。
いよいよ終盤戦。
クリスチャンマウラーは単独ゴール。
2位争いは、風の強い中壮絶な戦いを強いられているようです。
がしかし、ビリ争いは昨日ゲビンが見せたこれぞエックスアルプスのような山岳フライトで決着がつき、5人目のエルミネートは私になることが決定だったはずです。
が、NOVAチームのセオがSIONの管制圏に着陸してしまったらしく、48時間のペナルティーを受けることになり、時間内にセオの位置を超えれば、私たちのゴールモンブランに到達できそうです。
ということで、セオの動きを確かめながら、私は明日に望みをかけて、SIONバレーを歩いていかにレマン湖に近づけるかの一日となりました。


DAY10の最終到達地点。


朝は、SION城を眺めながら佐相さんとハイク。
歩くのに疲れてくると眠気覚ましに今回PHIチームで参加する予定だったキンガーのインスタライブ。
途中からは、後藤さんとマルティーニに吹く強風を感じながらのハイキングデーとなりました。


朝は、佐相さんと。


虹にも巡り合えました。


エックスアルプスはここスイスでも大人気のイベント。
何人も、応援に駆けつけてくれて、ワインの差し入れ2本。
ハイク&フライイベントをレマン湖の近くで主催している方からは、大会記念の帽子、パーカーなどをいただき、ぜひ参加してくれとのこと。
さらに彼は野営地を訪れてくれ、夜の間に汚れ物の洗濯までやってくれて朝届いていたようです。
本当にありがたい現地の方々のサポートを頂きました。


ワールドカップパイロットのジョエル。


ご当地ワインとイタリア製ワインをゲットで、ダビデも大喜び。


H&Fイベントの主催者。夜の間に汚れ物を洗濯してきてくれました。


パラグライダーをやっているといろいろな出会いがあります。
思い起こせば、私のヨーロッパパラグライダー人生は、1993年ここスイスベルビエで開催された世界選手権大会に出場したのがきっかけです。
その時、SIONバレーのモンタナで行われたタスクはフィーシュのアウト&リターン。西風が強く、行きは30分、帰りは5時間かけて田中美由喜さん、松原彪さんがゴールしたことを今でもはっきり覚えています。
私は行きっぱなしの高台にボムアウト。
そこへGINさんが墜落し、ヘリで救助されたことがGINさんとの出会いだったのかもしれません。
それから30年余り。いろいろなパイロットと出会い、みんなに助けられてここまで来ました。
さあ、今回のエックスアルプスも終わりが近づいています。
最後まで、今まで助けてくれた方々に感謝し、精いっぱい戦います。

P.S.
そういえば、ベルビエの世界選手権でもSt.バーナード峠当たりにツリーランしヘリで救助され、グライダーを次の日まで残置したら、なくなっていたことを思い出します。
前回のエックスアルプスでも、おなじようなことが・・・・
やっぱり、この性格は生まれ変わらないと治らないかもしれません。


Redbull Xalps2021 DAY9 回想(JPN1)

フィーシュのテイクオフでエネルギー補給。 クタクタで覇気がありません。


DAY9。
エックスアルプスではアスリートがよい飛びをすると、サポーターの活動に余裕がでてきますので、ゆっくりスーパーマーケットでフレッシュな食材を買い求めてもらえる時間があるのですが、アスリートがしくじるとサポーターもスーパーで買物どころか、私を追いかけるだけでも大変な時間を費やしてしまいます。
土曜日、日曜日としょうもないフライトをしてしまい、陸路のリカバリー大作戦でてんやわんやのJPN1チーム。
さすがに日曜の夜は食材も水も車にない状況で、体調も限界に近く、うまくリカバリーできない夜を過ごしました。
それでも、朝からローリー、ゲビンとの最下位争いでしりに火がついているので、頑張ってフィーシュへ向けて走り出します。
そしてTP7のサインボードへ3人の中では最初にたどり着けました。


ローリーが少し前、ゲビンが少し後ろの山の上にいるという事で、フィーシュまで走り始めます。


TP8はフランスとの国境に位置するので、アスリート、サポーター共にPCR検査を受けてからのハイクアップになります。


ブリーフィングをする暇もなく、一人ずつPCR検査が待ってました。


この日のフライトコンディションはというと、あまりお勧めしないフェーン現象の日。
フェーンの日はあまり飛んだことがないのですが、飛べなくなさそうなのでとりあえず?の感じでテイクオフまでハイクアップ。
ジュリアノはキノコ採りの名人らしく、途中でどでかいポルチーニをゲット。
今夜の食事は豪勢に行けそうです。


怪しい空模様。


ジュリアノはシシリア島でキノコを採って売って歩いているらしい?


テイクオフに到着すると、ワンちゃんのお出迎え。
調理の邪魔をするなと、後藤さんにしつけられながらも愛想してくれました。


OGIの飯だからと・・・


ちょっと陽も差してきました!


いよいよフライトですが、SIONの谷は何度も飛んだことがあるので、そこそこ行けるだろうという安易な思いでスタート。
佐相さんの念願だったアレッチ氷河を空から眺め、余裕でグライドを始めました。
が、しかし、次のサーマルでなぜか氷河からの風なのか東風がとても強いことが判明。
追い風ということで、そのまま安易にトランジッションし、いつものところでセンターリングするも強烈な北東風???
それでも、そんなはずはないといつものように岩盤狙いで駒をすすめていきますが・・・
少し低くなるも、もうワンサーマルぐらい何とかなるはずだと・・・・・
しかし何ともならず、高度をロス。
低くなるとこの谷はバレーウインドに警戒。
しかし、樹木が斜めになっているぐらい西風が強いはずが、なんと東の強風ではありませんか?
周りはブドウ畑で降りることろはわずか・・・
しかも、谷の真ん中はバックしながらリフトがかかった東風の強風??
フェーン現象ってこんななのか?????
SIONのCTRまで吹き飛ばされそうと、少し高台に発見した草地へまっしぐら
無事着陸できました。


CTR5㎞手前の高台に見つけた草地に無事ランディング。 ゲビンは山を越えていってしまいました・・・


これからブドウ畑を縫うように歩きます。その前に、木陰で一息ついてます。


この日は絶不調。
朝走った時から頭痛がひどく、飛んでも覇気がなく、降りてからの歩きもペースが全く上がりません。
早々見つけた今日のキャンプ場はなかなか快適で、さっそく夕食。
スイスで購入した高価な肉と、ジュリアノが採ったポルチーニ。
ふりかけご飯と味噌汁。
とにかく、食べまくることで、明日からの終盤戦にそなえます。




この日、ローリーは飛べるコンディションではないという事で、フィーシュのランディングから一歩も動かず、自主的にエルミネートされました。
DAY9はドンドッシュを回ったヤエールも飛んだのはわずかのみ。
モンブランを回っていたバンシルバンもずっと歩いていましたので、私は少しだけ飛べただけでも良しとしたいと思います。
ただ、イタリアまで到達していたトップ集団は一気にクローンプラッセに迫るビッグフライトを達成しています。
そして、山岳フライト冒険家のゲビンは、強風をものともせず、岩盤を渡り歩き、ドンドッシュに近づいて行ったのには感心しました。
私も、体調が整っていればそのコースに行けたかどうかは疑問です。
エックスアルプストップ選手のトレーニングは、変な風の時を選んで飛んでいるらしいです。
見習えますか???


ゲビンは山にへばりつくようにリッジソアリングを繰り返し、距離を伸ばしていったようです。世の中にはすごいやつがいるもんです。


今日の核心部はこの人、USA1のゲビン。グランドキャニオンを飛んでわたってしまう山岳冒険家は凄かったです。


Redbull Xalps2021 DAY8 回想(JPN1)

テイクオフではやる気満々の2人でしたが・・・・


DAY8。
この日は基本的に南東風の予報で、目指すTP7フィーシュからTP8ドンドッシュまでは追い風で飛んでいけるレグなのですが、そうは問屋が卸してくれないのが目の前に迫るヨーロッパアルプスの中でも一番といえる高所地帯。
このあたりの観光地は避暑地としてのアンデルマットが有名で、地中海にそそぐローヌ川、大西洋に流れ出るライン川の源流もこのあたりです。
この日はディセンティスのスキー場から飛び立ちますが、目指すフィーシュまではわずか60㎞あまりです。
しかし、数々の峠を越えていく必要があり、飛んでも歩いてもエックスアルプスの最大の難所といえる場所なのです。
一般的には、最後の峠フルカパスまではライン川に沿って東風が吹くことになっているのですが、アンデルマットあたりは5本の深い谷が集結する特殊な地形で常時西風が吹き、飛んで超えていくのに苦労する一帯なのです。
この日は、クラウドベースが低いこともありとても強い西風が吹き、峠に近づくにつれ対地高度も低くなっていくのであっという間に足がついてしまいました。


磯辺焼き。結構餅を食べました。


天気が良いので、さわやかな感じ。ちょっとスタートが遅かったかも。


アルプス一番の高所地帯


青丸の場所は常時西風が吹く


降りた上空をマウラーが通過。マウラーはこのフライトで勝負を決めました。


アンデルマットへ向かって飛ぼうと先を急ぎますが、アンデルマットへのテイクオフは南東強風で、ずっと待っていたローリーもあきらめて歩き始めます。


アンデルマットまでの谷は狭い!


元気のないローリー。


アンデルマットからは、ローリーは車道を行きフルカパスまでのハイク。
私は、飛べるチャンス狙いでトラバース道を。
フルカパスの手前5㎞地点でテイクオフのチャンス。
ダビデがバイクで先回りしていて、時間が押しているので必死にサポートしてくれます。
至福のソアリングコンディションでしたが、管制空域に蓋をされていてちょい低めでグライド。
フルカパスの吹き下ろしに引っかかり、200mも谷底に降ろされて不時着。
急斜面を4つ足でやっと上って、最後のテイクオフ。
グリムゼルの三叉路を何とか抜け、ローヌ川の谷に抜けることに成功しました。


フルカパスからテイクオフ。2007年を思い出します。


この日はクリスチャンマウラーが北側ルートを通りとんでもないマジックムーブを決め、トップグループから抜け出しました。
他のトップ集団は全員南ルートを選択で、結果失敗か?
それでも、次の日に全員凄いフライトをし時間内にゴールまで到達しているので、やっぱりマウラーだけが特別なのかもしれません。
夕方、三木さんも応援に来てくれ、マウラーの凄さを語り合いました。
明日は、アレッチ氷河を横目にフランスを目指します。


野営地まで一緒に歩いてくれた三木さん。


この日は、NOVAチームのセオがSIONのCTRに着陸してペナルティーを受けることになりました。
そこで、管制空域についての解説をどうぞ。


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